2010年に、米国カリフォルニア州サンディエゴで創業した楽天メディカル社は、今年で10周年を迎えました。
すい臓がんの父を救うため、日本国内にとどまらず、世界中で最先端の治療法を探していた三木谷浩史と、がん克服への願いを持った研究者、ミゲル・ガルシア・グズマンの出会いが新たなバイオテクノロジー企業へと発展する大きなきっかけとなりました。現在、楽天メディカルは、光免疫療法をもとにイルミノックス®プラットフォームとよばれる、特定の細胞に選択的に光感受性物質を運び、光を照射することによって細胞を壊死させる治療技術基盤の開発を進めています。
さまざまな軌跡と、多くの運命的な出会いがつまった楽天メディカル社の10年についてご紹介します。
2010年、米国カリフォルニア州サンディエゴにて、ミゲル・ガルシア・グズマンがアスピリアン・セラピューティクス社を創業。その翌年、米国国立がん研究所の小林久隆先生らが研究開発した、新たながん治療法とされる光免疫療法の論文が、生物医学ジャーナル誌「Nature Medicine」に掲載されました。
2012年、三木谷は父のがんを知り、世界中で最先端の治療法を探し求めていました。2013年に、グズマンは、小林先生の光免疫療法の独占的ライセンスの取得に成功、開発を進めるための出資者を探していました。同年、三木谷は、楽天市場創業当時からの友人である新保哲也さんを通じて、彼の従弟である小林先生に出会いました。当時まだ動物実験でのデータしかなかった光免疫療法ではありましたが、大変論理的な小林先生の説明に「これはいける。サポートする価値がある治療」と思った三木谷はすぐに支援を開始しました。
残念ながら、三木谷の父の治療には間に合いませんでしたが、「父を救いたい」という想いはやがて「誰かを救いたい」という想いへと変わり、グズマンとともに開発を加速させ、2015年には米国にて再発局所頭頸部がんを対象とした第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験の治験計画を申請しました。日本での臨床開発を進めるため、2017年に日本法人を設立し、同年に日本国内においても治験を開始。さらに、2019年、医薬品・医療機器分野で世界一となる決意を込め、社名を楽天メディカル社に変更しました。
2018年に米国食品医薬品局(FDA)から、2019年に厚生労働省より、優先審査の品目に指定され、現在、国際共同第Ⅲ相臨床試験を進めています。
さらに私たちは、「ガン克服。生きる。」という創業当時からのミッションを掲げ、がん患者さんがより良い生活を送れる社会の実現を目指しています。今後、一日でも早く、一人でも多くの患者さんに、この治療法を届け、いつの日かがんを克服できるよう全力を尽くしてまいります。
楽天メディカル社についてのビデオはこちらからご覧ください。
*イルミノックス®は、特定の医薬品や医療機器を指す呼称ではありません。