楽天メディカルは、2021年より毎年7月27日の「世界頭頸部(とうけいぶ)がんの日」に合わせて、頭頸部がんに対する理解や予防・早期発見・早期治療を呼びかけるため、オンライン市民公開講座を開催しています(2021年開催の詳細はこちら、2022年開催の詳細はこちらをご覧ください)。今年は、スポーツ×疾患啓発として、頭頸部がん専門医からの解説に加え、骨にできるがんである骨肉腫のサバイバーで車いすテニス世界ランキング1位の小田凱人(ときと)選手へのインタビューを実施しました。講座当日は事前に登録した約100名の方が視聴しました。より多くの方に視聴いただけるよう、本講座のアーカイブ動画をYouTubeに公開しました。
今年の本講座は2部構成で実施しました。第1部では、大阪国際がんセンター 頭頸部外科(耳鼻咽喉科)主任部長 藤井 隆先生に、頭頸部という部位やそのはたらき、頭頸部がんの原因などについて分かりやすく解説いただきました。
頭頸部がんの治療について、藤井先生は、「頭頸部がんは、適切な治療を行えば、根治も狙えるがんです。なかでも標準治療(手術・放射線治療・薬物療法)は、科学的根拠に基づき現在利用できる最良の治療であり、いわば現時点のチャンピオンともいえる治療法です。ただ、完全無欠ではなく、食事や発声などの機能をどう温存するかなどの課題はあります。一方、アルミノックス治療をはじめとする最近の治療法は、現在の標準治療と比較した際の有効性や安全性が今後明らかになれば、次世代の標準治療となりうる位置づけのものです」と説明されました。
第2部に実施した小田選手へのインタビューでは、治療や厳しい練習などを経て現在の活躍に至るまでのお話を伺いました。小田選手は、楽天・ジャパン・オープン・テニス・チャンピオンシップス2022(楽天オープン2022)の車いすシングルス決勝に出場した際、楽天メディカルが招待した小児がん経験者のエスコートでコートに入場しました。
小田選手は、ご自身の経験や今の状況を振り返り、「病気と闘った経験があるからこそ今の自分があり、逆にそれを武器として世界で戦っています。今も検査は受けていますし、今後受ける可能性のある治療のことを考えると、ネガティブな気持ちになることはあります。でも、テニスをすることで、それが吹き飛んでしまう。スポーツに救われています」と話されました。そして、今まさに病気や困難と向き合っている方へのメッセージとして、「今は苦労も多いと思いますが、乗り越えれば大きな自信になります。僕も、病気を経験したからこそ、もう怖いものは何一つないと言えるくらいの自信がつきました。一緒に頑張りましょう」と、力強く語ってくださいました。
楽天メディカルは、頭頸部がんをはじめとする疾患についてまず知ってもらうことが予防・早期発見・早期治療に繋がると考え、人気の高いスポーツと絡めた疾患啓発活動に取り組んでいます。「頭頸部がん」は、まだまだ広く知られていないというのが現状です。当社が今年実施した頭頸部がんに関する認知度調査では、7割近くの方が「頭頸部がん」という疾患名について「聞いたことがない」と回答しました(2023年2月17日~3月13日にオンラインで実施、回答総数665名)。当社は、今後も、頭頸部がんをはじめとする疾患に対する治療法の提供のみならず啓発活動にも取り組むことで、「ガン克服。」のミッション実現を目指します。