楽天メディカル株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役会長:三木谷 浩史/以下、楽天メディカル)は、「アキャルックス®点滴静注250㎎」(一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組換え)/以下、本医薬品)と併用して用いるレーザ光照射のための医療機器「BioBlade®レーザシステム」(以下、本医療機器)について、12月1日付で歯科口腔外科領域において保険収載されたことを受け、このたび、口腔外科医による初めての「頭頸部アルミノックス治療※1」(光免疫療法/以下、本治療)が実施されたことをお知らせします。本治療は、東京医科大学病院 歯科口腔外科・矯正歯科にて行われました。
2020年9月に、本医薬品と本医療機器は「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」を効能・効果とし、厚生労働省より製造販売承認を取得しました。2021年1月より、当該製品の販売を開始し、耳鼻咽喉科・頭頸部外科にて400回以上(発表日時点)の治療が実施されました。2023年12月より、歯科口腔外科領域においても保険診療が可能となり、両診療科合わせて、来春には全国約150か所で治療提供可能となる見込みです。
東京医科大学病院 歯科口腔外科・矯正歯科の主治医 長谷川 温 先生は、次のように述べています。「歯科口腔外科での初治療として、他に治療選択肢がなかった歯肉がん(歯ぐきにできるがん)に対して施術しました。術前に頭頸部アルミノックス治療の指導医※2である当院の耳鼻咽喉科・頭頸部外科の医師とレーザ光照射の計画を行ったことで、適切に施術することができました。我々の診療科にも、新たな治療選択肢が一つ加わったことを大変うれしく思います」
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会 理事長ならびに「口腔がんアルミノックス治療運営委員会」の委員長である、東海大学医学部付属病院 歯科口腔外科 教授 太田 嘉英 先生は、次のように述べています。「歯科口腔外科領域においても、保険治療による頭頸部アルミノックス治療(光免疫療法)が提供可能になったことは、口腔がんに対する治療の発展に寄与すると確信しています。発展のための第一歩として、頭頸部外科の先生方のご指導・ご協力のもと、『口腔がんアルミノックス治療運営委員会』の運営体制の構築を迅速に進めてまいります。診療科の垣根を超えた、さらなる連携の推進と新しい治療の可能性を追求し、一人でも多くのがん患者さんに貢献することを目指します」
口腔がんに対する治療法は、がんの場所や種類、進行度によって異なりますが、多くの口腔がんは、第一選択肢として外科的切術が行われます。進行・再発口腔がんに対しても、切除可能な場合は外科的切術が選択され、切除不能な場合には、放射線治療や化学療法が行われますが、先行治療の影響などによりその効果は限定的と言われています。このような疾患に対するアンメット・メディカル・ニーズがある中で、歯科口腔外科の先生方より、同疾患に対する一つの治療選択肢として、本治療を提供いただけるようになりました。楽天メディカルは今後も、一日でも早く、一人でも多くのがん患者さんに本治療をお届けできるよう、医療関係者の皆さんとともに最善の方法を探求し続けてまいります。
楽天メディカルの「患者さん・ご家族」向けウェブサイトの「治療が受けられる施設」に、掲載許諾をいただいた医療機関を掲載しています。今後、許諾が得られた医療機関に関して、随時、掲載予定です。
※1 「アキャルックス®点滴静注250㎎」と「BioBlade®レーザシステム」を用いた頭頸部がんに対する治療法です。
※2 「指導医」とは、頭頸部アルミノックス治療の複数症例の実施経験があり、本治療の施術者に対して適切な指⽰が出せるなど、関連学会が指導医として適格と認定した専門医を指します。
楽天メディカル株式会社について
楽天メディカルは、アルミノックス™プラットフォームと呼ぶ技術基盤を基に、薬剤と光を組み合わせた、がんをはじめとした様々な疾患に対する新しい治療法の開発および販売を行うグローバルバイオテクノロジー企業です。同プラットフォームを基に開発した医薬品・医療機器の非臨床試験(非公開データ)では、特定の細胞の選択的な壊死が確認されています。楽天メディカル社は、世界中の一人でも多くの患者さんに、一日でも早く、私たちの革新的な治療法をお届けすることにより「ガン克服。」というミッションの実現を目指しています。本社を構える米国に加え、日本、台湾、スイス、インドの世界5カ国に拠点を有しています。楽天メディカル株式会社は、楽天メディカル社(米国法人)の日本法人です。詳しくは、https://rakuten-med.com/jp/をご覧ください。
口腔(こうくう)がんについて
口腔がんは、頭頸部(とうけいぶ)がんの一種で口の中にできるがんの総称です。舌(ぜつ)、口腔底(こうくうてい:舌と下側の歯ぐきの間)、歯肉(しにく:歯ぐき)、頬粘膜(きょうねんまく:頬の内側の粘膜)、硬口蓋(こうこうがい:上あご)、口唇(こうしん:唇)に発生します。日本では、年間約13,000人1)の方が口腔がんを発症しており、50~70代の男性に多く見られるのが特徴で、近年、増加傾向にあります2)。口腔という部位は、「噛む」、「飲み込む」、「声を出す」など日常生活を送る上で重要な機能を持っており、その大切な器官をがんから守るためには、予防や早期発見による治療が重要になります。
アキャルックス®点滴静注250㎎について
アキャルックス®点滴静注250㎎は、キメラ型抗ヒト上皮成長因子受容体 (EGFR) モノクローナル抗体 (IgG1) であるセツキシマブと光感受物質である色素IRDye® 700DX を結合させた抗体-光感受性物質複合体からなる点滴静注用の注射剤です。アルミノックス™プラットフォームを基に開発された最初の医薬品で、一般名はセツキシマブ サロタロカンナトリウム (遺伝子組換え) です。
BioBlade®レーザシステムについて
BioBlade®レーザシステムは、アキャルックス®点滴静注250㎎と組み合わせて使用するレーザ装置です。レーザシステムは、BioBlade®レーザ、必要な付属品、ディフューザー及びニードルカテーテルにより構成されます。ディフューザーは、照射を行うための補助器具で、光ファイバーの前方から照射を行う表面照射用のフロンタルディフューザーと、光ファイバーの側面から照射を行う組織内照射用のシリンドリカルディフューザーの2種類があります。ニードルカテーテルは、組織内治療において、シリンドリカルディフューザーを導入するために使用します。
参考:
1)厚生労働省健康局がん・疾病対策課 「平成31年全国がん登録 罹患数・率 報告」付表1.罹患数 口唇、舌根<基底>部、その他および部位不明確の舌、歯肉、口腔底、口蓋、その他および部位不明確の口唇の合計値