- 局所再発頭頸部癌患者を対象とした、RM-1929による光免疫療法の第Ⅱa相臨床試験において、全奏効率は43% (95%信頼区間:25.5 - 62.6)、有害事象が限定的であり、全般的に良好な忍容性であった。
- 米国、欧州、アジア太平洋地域で、約275人の局所再発頭頸部癌患者を対象とした、ASP-1929による光免疫療法に対する多施設無作為化二群間非盲検第Ⅲ相臨床試験「LUZERA-301 」 を実施中である。
光免疫療法に関する独占的ライセンスのもと、がん細胞に対する選択性に優れたがん治療法の開発を進める楽天メディカル社 (本社:アメリカ カリフォルニア州 サンマテオ、会長 兼 最高経営責任者: 三木谷 浩史)は、局所再発頭頸部癌患者に対するRM-1929 (抗EGFR抗体との複合体)による光免疫療法の安全性および有効性を評価する第Ⅱa相臨床試験において、良好な結果が得られたことを発表しました。また、国際共同第Ⅲ相臨床試験の詳細も発表しました。
第Ⅱa相臨床試験における結果については、2019年6月1日(土)に米国シカゴで開催されたアメリカ臨床腫瘍学会 (ASCO)年次総会のポスターディスカッションセッションにおいて、複数の前治療歴を有する30名の局所再発頭頸部癌患者において示された、RM-1929による光免疫療法の臨床的意義のある抗がん効果が発表されました。
第Ⅱa相臨床試験における主な結果は、以下の通りです。
- 独立した中央判定において、全奏効率は43% (95%信頼区間:5 - 62.6)で、そのうち完全奏効が4名(13%)、部分奏効が9名(30% )でした。
- 無増悪生存期間の中央値は5.2カ月 (95%信頼区間:2.1-5.5)、全生存期間の中央値は9.3カ月 (95%信頼区間:5.2-16.9)でした。
- 全般的に良好な忍容性でした。
- 重篤な有害事象が確認された患者13名 (43.3%)のうち、RM-1929 による光免疫療法との関連ありと考えられたのは3名でした。
楽天メディカル社 副社長 臨床開発本部長であるJeannie Houは、次のように述べました。「私たちは、がん患者さんが抱える、治療に対するアンメットニーズに挑戦しています。今回発表された第Ⅱa相臨床試験の結果は、この挑戦を後押しする内容となりました。第Ⅱa相臨床試験の結果により、がん細胞を選択的に標的化する抗体を活用した薬剤と、局所照射を組み合わせることで、正常組織への影響を最小限に抑えた、頭頸部がんへの治療の可能性が示唆されました。この結果を踏まえ、次の国際共同第Ⅲ相臨床試験も期待したいと思います」
国際共同第Ⅲ相臨床試験「LUZERA-301 」の概要についても、ASCOでのポスタープレゼンテーションで発表されました。第Ⅲ相臨床試験は、1種以上の全身化学療法 (プラチナ製剤を中心とした治療を推奨)を含む、少なくとも2種類以上の治療歴を有する局所再発頭頸部癌患者を対象としています。ASP-1929(抗EGFR抗体との複合体で、RM-1929と同一有効成分の薬剤)における光免疫療法と医師が選択した標準療法との比較を行う、多施設無作為化二群間非盲検臨床試験です。この試験における主要評価項目は、全生存期間と無増悪生存期間、副次的評価項目は客観的奏効率となっています。楽天メディカル社は、今後米国、欧州、アジア太平洋地域で、約275人の患者を対象に実施する予定です。
第Ⅲ相臨床試験(NCT03769506)の詳細は、www.clinicaltrials.govをご覧ください。
楽天メディカル社について
楽天メディカル社(本社:アメリカ カリフォルニア州 サンマテオ)は、独占的ライセンスを有する光免疫療法(PIT)プラットフォームをもとにした、がん細胞に対し選択性に優れた治療法を開発している総合バイオテクノロジー企業です。私たちは、がんを克服するというミッションのため、治療法の研究開発から世界中のがん患者さんへ治療法を届けるまでを一貫して実現することを目指しています。 楽天メディカルジャパン株式会社は、楽天メディカルの日本法人です。
光免疫療法(PIT;Photoimmunotherapy)について
2013年以来、楽天メディカル社は、光免疫療法プラットフォームを用いた新しいがん治療法を開発してきました。光免疫療法は、抗体によりがん細胞を選択的に標的化し、レーザーによってがん細胞を速やかに壊死させる治療法です。これは、生物学と物理学の双方のメカニズムを組み合わせた革新的な方法です。がん細胞を正確かつ迅速に壊死させる一方で、正常組織にはわずかな影響しか及ぼしません。楽天メディカル社は、単独療法および他の薬剤との併用療法の臨床試験を行い、製品化を目指します。
ASP-1929光免疫療法について
セツキシマブとIRDye®700DX の複合体であるASP-1929は、頭頸部がん、食道がん、肺がん、結腸がん、すい臓がんなど様々な種類の固形がんに発現するがん抗原、上皮成長因子受容体(EGFR)を標的とします。ASP-1929は、がん細胞と結合後、独占的ライセンスをもつレーザー機と光ファイバーにより照射された非熱性赤色光により、局所的に活性化されます。この治療法は、周囲の正常な組織ではなく、がん細胞を標的としています。
ASP-1929は、未承認薬であり、実際に治療を受けることはまだ出来ません。現在、国内外において「頭頸部がん」「食道がん」の患者さんを対象に臨床試験が実施されています。
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