- 狭い領域にできた頭頸部がんにもレーザ光照射が可能に -
楽天メディカル株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役会長:三木谷 浩史/以下、楽天メディカル)は、頭頸部アルミノックス治療(以下、本治療)のレーザ光照射に用いる医療機器「BioBlade®レーザ WR」および「BioBlade®サイドファイヤーディフューザー」を、11月1日より販売開始することをお知らせします。
これらの医療機器は、BioBlade®レーザシステムに新たに追加された構成品です。本構成品の追加により、狭い領域にできた頭頸部がんにも、より適切なレーザ光照射が可能となります。
BioBlade®レーザ WR(※1) |
既存品よりも小さい照射スポット径(7~17mm)の設定が可能になり、短い照射距離(12~30mm)でがんの表面部分に対するレーザ光照射が行えます。 |
BioBlade®サイドファイヤーディフューザー |
光ファイバー端部より側面からレーザ光を出し、がんの表面部分に対して垂直な照射を可能にします。 |
※1:小さい照射スポット径は、ポート4のみ設定可能です。1~3は、既存品の照射スポット径(17~38mm)と照射距離(30~65mm)の設定です。
藤田医科大学病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 教授 楯谷 一郎 医師は次のように述べています。「外科的切除ができない局所再発または局所進行の頭頸部がんに対して、頭頸部アルミノックス治療は一つの治療選択肢として検討されます。しかし、一部の咽頭や喉頭のような狭い部位や口腔では適正なレーザ光照射が困難なケースがありました。そのため、楽天メディカルが開発を進めていた『BioBlade®サイドファイヤーディフューザー』を用いて、当院で照射の検証を実施しました。本デバイスを用いた検証結果では、狭い領域のがんに対する適正照射の可能性が示されました。今まで本治療の提供を諦めていた患者さんにもお届けできるようになり大変うれしく思います」
同院には、2023年9月に販売開始した「BioBlade®ディフューザー用ガイド管」の開発段階においても、適正な照射を評価するための試験を実施いただきました。
頭頸部アルミノックス治療は、医薬品「アキャルックス®点滴静注250㎎」と医療機器レーザ装置「BioBlade®レーザシステム」を用いた治療法です。頭頸部のがん細胞の表面に多くあらわれるタンパク質に結合する同医薬品を投与し、レーザ光を当てることで薬剤が反応し、がん細胞を選択的に死滅させます。これらの製品は、2020年9月に世界に先駆けて日本で「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」を効能・効果とし、製造販売承認を取得しました。2021年1月より本治療が提供開始され、46都道府県の約170か所の約400名の治療医によって累計約700回の治療が実施されました(10月末時点)。さまざまな病変に対して本治療が提供される中で、がん表面部分の照射に用いる「BioBlade®フロンタルディフューザー」は、狭い治療領域では適正な照射距離が確保できないことや、病変に対して照射径が大きいこと、また、組織表面に対して垂直に照射することが難しい場合がありました。そのため楽天メディカルは、狭い領域にできる頭頸部がんに対して、より適正な照射が可能となるよう医療機器の開発を進めてきました。
楽天メディカルは、本治療のさらなる発展のため医療従事者の皆さんと引き続き連携し、医療機器の開発を行い、治療選択肢が限られている一人でも多くの頭頸部がん患者さんに本治療をお届けすることを目指します。
<製品概要>
販売名 | BioBlade®レーザ WR | BioBlade®サイドファイヤーディフューザー |
一般的名称 | PDT半導体レーザ | 単回使用PDT半導体レーザ用プローブ |
医療機器
クラス分類 |
高度管理医療機器(クラスⅢ) | 高度管理医療機器(クラスⅢ) |
JMDNコード | 70632000 | 61471003 |
楽天メディカル株式会社について
楽天メディカルは、アルミノックス™プラットフォームと呼ぶ技術基盤を基に、薬剤と光を組み合わせた、がんをはじめとした様々な疾患に対する新しい治療法の開発および販売を行うグローバルバイオテクノロジー企業です。同プラットフォームを基に開発した医薬品・医療機器の非臨床試験(非公開データ)では、特定の細胞の選択的な壊死が確認されています。楽天メディカルは、世界中の一人でも多くの患者さんに、一日でも早く、私たちの革新的な治療法をお届けすることにより「ガン克服。」というミッションの実現を目指しています。本社を構える米国に加え、日本、台湾、スイス、インドの世界5カ国/地域に拠点を有しています。楽天メディカル株式会社は、Rakuten Medical, Inc.(米国法人)の日本法人です。詳しくは、https://rakuten-med.com/jp/をご覧ください。
頭頸部(とうけいぶ)がんについて
日本では、年間約45,000人*の方が頭頸部がんを発症しています。頭頸部がんとは、頭から鎖骨までの範囲に含まれるがんの総称です(脳と目は除く)。頭頸部は大きく分けて鼻、口腔、咽頭、喉頭といった器官で構成されており、発生部位により、咽頭がん(上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん)、喉頭がん(声門がん、声門上がん、声門下がん)、鼻腔・副鼻腔がん(上顎洞がんなど)、口腔がん(舌がんなど)、唾液腺がん、甲状腺がんなどの診断名がつきます。この頭頸部と呼ばれる部位には、呼吸や嚥下など人間が生きるうえで必要な機能、さらには発声、味覚、聴覚など日常生活に重要な機能が集中しています。これらに障害が起きるとQuality of Life (QOL: 生活の質)に影響を及ぼすため、がんを治すための根治性とQOLのバランスを保った治療法が必要とされています。
*厚生労働省健康局がん・疾病対策課「令和2年全国がん登録 罹患数・率 報告」付表1.罹患数 口唇~その他および部位不明確の口唇、口腔および咽頭、鼻腔および中耳、副鼻腔、喉頭、甲状腺の合計値
アキャルックス®点滴静注250㎎について
アキャルックス®点滴静注250㎎は、キメラ型抗ヒト上皮成長因子受容体 (EGFR) モノクローナル抗体 (IgG1) であるセツキシマブと光感受物質である色素IRDye® 700DX を結合させた抗体-光感受性物質複合体からなる点滴静注用の注射剤です。アルミノックス™プラットフォームを基に開発された最初の医薬品で、一般名はセツキシマブ サロタロカンナトリウム (遺伝子組換え) です。
BioBlade®レーザシステムについて
BioBlade®レーザシステムは、アキャルックス®点滴静注250㎎と組み合わせて使用するレーザ装置です。レーザシステムは、レーザ装置(BioBlade®レーザ、BioBlade®レーザ WR)、必要な付属品、ディフューザー、およびニードルカテーテルにより構成されます。ディフューザーは、照射を行うための補助器具で、光ファイバーの前方から照射を行う表面照射用のフロンタルディフューザー、光ファイバー端部より側方へ照射を行う表面照射用のサイドファイヤーディフューザー、および光ファイバー端部より円周方向に照射を行う組織内照射用のシリンドリカルディフューザーの3種類があります。BioBlade®ディフューザー用ガイド管は、湾曲することが可能でフロンタルディフューザーやサイドファイヤーディフューザーを照射部位まで誘導するために使用します。ニードルカテーテルは、組織内治療において、シリンドリカルディフューザーを導入するために使用します。