- 忍容性は概ね良好であり、生存率は18ヵ月時点で53.5% 1)
- 再発頭頸部がんに対する新たな革新的治療オプションとなる可能性
楽天メディカル社(本社:米国 カリフォルニア州 サンディエゴ/以下、楽天メディカル)は、2023年7月10日、カナダ・モントリオールで開催された米国頭頸部学会(American Head and Neck Society)の11th International Conference on Head and Neck Cancer(以下、AHNS 2023)において、ASP-1929を用いたアルミノックス治療と抗PD-1抗体の併用療法に関する安全性および有効性を検討する非盲検第Ⅰb /Ⅱ相臨床試験(ASP-1929-181試験/ClinicalTrials.gov Identifier:NCT04305795)の早期評価データが発表されたことをお知らせします。
今回の発表では、ASP-1929-181試験に登録された再発又は転移性の頭頸部扁平上皮がんの患者さん19例の早期評価データにおいて、本併用療法の安全性および有効性に関する有望な結果が示されました。
AHNS2023での主な発表内容
演題:Safety and efficacy findings from a phase 1b/2 open-label study of a novel combination of ASP-1929 photoimmunotherapy with anti-PD-1 therapy in EGFR-expressing advanced head and neck squamous cell carcinoma(抄録番号:S252)
- 客観的奏効率(Objective Response Rate:ORR)は29.4%(5例、95%信頼区間:10.3-56.0)、うち17.6%(3例)が完全奏効(Complete Responses:CR)、11.8%(2例)が部分奏効(Partial Responses:PR)であった2)
- 生存率(Overall Survival:OS)は18ヵ月時点で53.5%(95%信頼区間:18.5-79.3)であった1)2)
- 有害事象は管理可能で概ね良好な忍容性を示した
- 有効性と安全性に関する有望な早期評価データが得られたことから、さらなる臨床試験により、これらの予備的発見を検証する意義があると考える
1) データカットオフ時点ではOS中央値に達していない。
2) 19例の登録患者さんのうち有効性について検討可能な17例について評価された。
米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンター Division of Surgery, Department of Head and Neck Surgery教授のAnn M. Gillenwater氏は、本データ発表において、以下のように述べています。「進行頭頸部がんは、治療選択肢が限られており、概ね低い生存率と、高い局所再発率が課題となっています。抗PD-1抗体は頭頸部がんをはじめとする様々ながんの治療に用いられています。今回の結果をもとに、アルミノックス治療と抗PD-1抗体の併用療法が再発頭頸部がんに対して新たな革新的治療法となる可能性について、さらに検討を進める必要があります。EGFR発現のあるがん細胞と、PD-1経路の両方を標的にすることにより、抗腫瘍免疫反応が活性化され、どちらか一方の単独療法に比べより持続的でより効果の高い腫瘍縮小が期待されます」
楽天メディカルCo-CEOの三木谷 浩史は、「ASP-1929-181試験の早期評価データにおいて、有望な結果が示されたことを大変嬉しく思います。標準治療である抗PD-1抗体にASP-1929を用いたアルミノックス治療を組み合わせることにより、頭頸部がん治療、ひいてはがん治療全体に意義のある進歩がもたらされる可能性があります」と述べています。
ASP-1929-181試験の概要
本試験は、EGFRが発現している進行性の固形がんを対象とした、抗EGFR抗体-光感受性物質複合体「ASP-1929」を用いたアルミノックス治療と抗PD-1抗体との併用療法に関する非盲検第Ⅰb /Ⅱ相臨床試験です。本試験は、1) 再発又は転移性局所進行頭頸部扁平上皮がん、2) 局所進行又は転移性皮膚扁平上皮がん、3) 少なくとも2ヵ月間の抗PD-1抗体による治療を受けたにも関わらず病勢進行した局所進行または転移性皮膚扁平上皮がんを対象とする3つのコホートに分かれています。本試験の主要評価項目は、ASP-1929を用いたアルミノックス治療と抗PD-1抗体の併用療法における安全性、忍容性、および抗腫瘍効果です。
楽天メディカル社について
楽天メディカル社は、アルミノックス™プラットフォームと呼ぶ技術基盤を基に、薬剤と光を組み合わせた、がんをはじめとした様々な疾患に対する新しい治療法の開発および販売を行うグローバルバイオテクノロジー企業です。同プラットフォームを基に開発した医薬品・医療機器の非臨床試験(非公開データ)では、特定の細胞の選択的な壊死が確認されています。楽天メディカル社は、世界中の一人でも多くの患者さんに、一日でも早く、私たちの革新的な治療法をお届けすることにより「ガン克服。」というミッションの実現を目指しています。本社がある米国に加え、日本、オランダ、台湾、スイス、インドの世界6カ国に拠点を有しています。楽天メディカル株式会社は、楽天メディカル社(米国法人)の日本法人です。詳しくは、https://rakuten-med.com/jp/をご覧ください。
アルミノックス™プラットフォームについて
アルミノックス™プラットフォームは、治療技術基盤の名称であり、米国国立がん研究所の小林久隆先生らが開発したがん光免疫療法が基となっています。同プラットフォームは、医薬品、医療機器、医療技術、その他周辺技術を総合的に利用した技術基盤であり、楽天メディカル社は、これに基づき製品や治療法の開発を進めています。同プラットフォームを用いた治療は、「薬剤の投与」と「光の照射」の 2 段階で構成されます。薬剤は、光感受性物質 (光に反応する物質) と、キャリア (特定の細胞に選択的に集積する成分) から組成される複合体です。同薬剤を投与し、特定の細胞に選択的に集積させた後、その細胞に特定の光を照射することで光感受性物質を活性化させ、生化学・物理学的プロセスにより、特定の細胞を壊死させ、あるいは、排除します。
ASP-1929について
楽天メディカル社がアルミノックス™プラットフォームを基に開発した最初の薬剤であるASP-1929(一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム)は、抗体であるセツキシマブに光感受性物質である色素IRDye® 700DXが結合した抗体-光感受性物質複合体で、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に集積することが確認されています。EGFRは、頭頸部がん、乳がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん、すい臓がんなど様々な種類の固形がんに発現していることが知られています。ASP-1929ががん細胞に集積した後、波長690 nmのレーザ光を専用のレーザ照射システムを用いて照射することにより、ASP-1929が局所的に励起され光化学反応を起こします。これにより細胞膜が傷害されたがん細胞が選択的に壊死すると考えられています。本剤を用いたアルミノックス治療は、2018年1月に米国食品医薬品局からファストトラックに指定され、現在局所再発頭頸部扁平上皮がんの国際共同第Ⅲ相臨床試験を実施しています。日本において、先駆け審査指定制度の対象品目として指定され、かつ条件付き早期承認制度の適用のもと申請を行い、2020年9月に「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」を効能または効果とする製造販売承認を厚生労働省から取得しています。日本以外の規制当局による承認は受けておりません。
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