- 年内には約200か所まで治療拠点を増加し、患者さんの治療アクセス向上に繋げる
- 保険治療開始から累計約900回の治療が提供された
楽天メディカル株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役会長:三木谷 浩史/以下、楽天メディカル)は、同社が製造販売を行う医薬品「アキャルックス®点滴静注250㎎」(一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組換え)/以下、本医薬品)および医療機器レーザ装置「BioBlade®レーザシステム」(以下、本医療機器)を用いた、頭頸部アルミノックス治療(光免疫療法)(以下、本治療)について、全国47都道府県における約180か所の耳鼻咽喉科・頭頸部外科および歯科口腔外科で提供可能となったことをお知らせします。患者さんの治療アクセスをさらに向上させるため、年内には全国約200か所で本治療をご提供できる体制を整える予定です。
本医薬品と本医療機器は、2020年9月に世界に先駆けて日本で「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」を効能・効果とする製造販売承認を取得しました。2021年1月に、耳鼻咽喉科・頭頸部外科で保険診療下の治療が開始され、2023年12月に、歯科口腔外科でも開始されました。本治療の治療医(※1)は約450名となり、保険治療開始から4年半足らずで累計約900回の治療が頭頸部がん患者さんに提供されました(2025年5月中旬現在)。
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 理事長 朝蔭 孝宏 医師(東京科学大学 頭頸部外科 教授)は次のように述べています。「頭頸部アルミノックス治療は、今までにない治療法だったことから、当学会に『頭頸部アルミノックス治療運営委員会』を設置し、安全性に留意しながら国内で普及・発展させてきました。本治療の知見も蓄積され、局所制御を目的とした治療として有用であることを示唆したデータが『第34回日本頭頸部外科学会総会ならびに学術講演会』で発表されました。治療拠点数の増加に伴い、本治療が必要な患者さんに適切に提供できるよう、当学会としても尽力してまいります」
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会 理事長 上田 倫弘 医師(北海道がんセンター 口腔腫瘍外科 医長)は、次のように述べています。「経験豊富な頭頸部外科の先生方のご支援により、当学会でも『口腔がんアルミノックス治療運営委員会』の運営体制を構築することができました。歯科口腔外科では約1年半で、累計100回*ほどの治療が口腔がん患者さんに提供されました。本治療が治療選択肢の一つとして加わったことで、口腔がん領域における治療戦略も変化しつつあります。引き続き、当学会は診療科の垣根を超えた連携を推進し、口腔がん治療の発展に邁進してまいります」
楽天メディカル 代表取締役社長 小玉 裕之は、次のように述べています。「関連学会および頭頸部アルミノックス治療に従事されている医療従事者の皆さんの多大なるご支援・ご尽力により、4年半ほどで治療拠点数は20か所から約180か所まで拡大し、患者さんの治療アクセスの向上を実現いたしました。また、医療従事者の皆さんのフィードバックをもとに開発したデバイスも複数上市し、本治療がより多くの頭頸部がん患者さんへ届けられるようになりました。患者さんがより良いがん治療にアクセスできるよう、医療従事者の皆さんと連携し、アルミノックス治療の発展に努めてまいります」
*耳鼻咽喉科・頭頸部外科との合同治療を含む
本治療が受けられる施設の最新情報については、楽天メディカルの患者さん・ご家族向けウェブサイトhttps://pts.rakuten-med.jp/akalux/institution/(※2)でご確認いただけます。
本治療は、適正使用による安全性確保を目的として設定された施設要件を満たす医療機関において提供されます。クリニックや医院などの診療所で提供されている光免疫療法は、当社製品を用いた治療ではありません。現在、保険診療で受けられる本治療の適応症は「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部がん」のみです。
本医薬品および本医療機器の承認条件(※3)として、切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部がんの診断および治療に関する十分な知識・経験のある医師が、治療法についての講習を受け、本治療に関する手技および同療法に伴う合併症等に関する十分な知識を得た上で、本品が用いられるよう、関連学会と連携の上で必要な措置を講ずることが定められています。これを受け、当社は、本医薬品に係る「医薬品リスク管理計画書」(※4)において、「追加のリスク最小化活動」として使用条件(施設要件、医師要件および講習受講)を設けています。
※1:「治療医」とは、関連学会による後援・指導のもと当社が主催する講習プログラムを修了するなど、本治療の医師、歯科医師要件を満たした医師です。
※2:掲載許諾をいただいた医療機関のみ掲載しています。
※3: 承認条件の詳細は、以下の「製品概要」の「承認条件」の欄をご参照ください。
※4:「医薬品リスク管理計画」(Risk Management Plan)は、個々の医薬品について安全性上の検討課題を特定し、使用成績調査、市販直後調査等による調査・情報収集や、医療関係者の皆様への追加の情報提供などの医薬品のリスクを低減するための取組みを、医薬品ごとに文書化したものです。
楽天メディカル株式会社について
楽天メディカルは、アルミノックス™プラットフォームと呼ぶ技術基盤を基に、薬剤と光を組み合わせた、がんをはじめとした様々な疾患に対する新しい治療法の開発および販売を行うグローバルバイオテクノロジー企業です。同プラットフォームを基に開発した医薬品・医療機器の非臨床試験(非公開データ)では、特定の細胞の選択的な壊死が確認されています。楽天メディカルは、世界中の一人でも多くの患者さんに、一日でも早く、私たちの革新的な治療法をお届けすることにより「ガン克服。」というミッションの実現を目指しています。本社を構える米国に加え、日本、台湾、スイス、インドの世界5カ国/地域に拠点を有しています。楽天メディカル株式会社は、Rakuten Medical, Inc.(米国法人)の日本法人です。詳しくは、https://rakuten-med.com/jp/をご覧ください。
アルミノックス™プラットフォームについて
アルミノックス™プラットフォームは、治療技術基盤の名称であり、米国国立がん研究所の小林久隆先生らが開発したがん光免疫療法が基となっています。同プラットフォームは、医薬品、医療機器、医療技術、その他周辺技術を総合的に利用した技術基盤であり、楽天メディカルは、これに基づき製品や治療法の開発を進めています。同プラットフォームを用いた治療は、「薬剤の投与」と「光の照射」の 2 段階で構成されます。薬剤は、光感受性物質 (光に反応する物質) と、キャリア (特定の細胞に選択的に集積する成分) から組成される複合体です。同薬剤を投与し、特定の細胞に選択的に集積させた後、その細胞に特定の光を照射することで光感受性物質を活性化させ、生化学・物理学的プロセスにより、特定の細胞を壊死させ、あるいは、排除します。
頭頸部(とうけいぶ)がんについて
日本では、年間約45,000人*の方が頭頸部がんを発症しています。頭頸部がんとは、頭から鎖骨までの範囲に含まれるがんの総称です(脳と目は除く)。頭頸部は大きく分けて鼻、口腔、咽頭、喉頭といった器官で構成されており、発生部位により、咽頭がん(上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん)、喉頭がん(声門がん、声門上がん、声門下がん)、鼻腔・副鼻腔がん(上顎洞がんなど)、口腔がん(舌がんなど)、唾液腺がん、甲状腺がんなどの診断名がつきます。この頭頸部と呼ばれる部位には、呼吸や嚥下など人間が生きるうえで必要な機能、さらには発声、味覚、聴覚など日常生活に重要な機能が集中しています。これらに障害が起きるとQuality of Life (QOL: 生活の質)に影響を及ぼすため、がんを治すための根治性とQOLのバランスを保った治療法が必要とされています。
*厚生労働省健康局がん・疾病対策課「令和2年全国がん登録 罹患数・率 報告」付表1.罹患数 口唇~その他および部位不明確の口唇、口腔および咽頭、鼻腔および中耳、副鼻腔、喉頭、甲状腺の合計値
アキャルックス®点滴静注250㎎について
アキャルックス®点滴静注250㎎は、キメラ型抗ヒト上皮成長因子受容体 (EGFR) モノクローナル抗体 (IgG1) であるセツキシマブと光感受物質である色素IRDye® 700DX を結合させた抗体-光感受性物質複合体からなる点滴静注用の注射剤です。アルミノックス™プラットフォームを基に開発された最初の医薬品で、一般名はセツキシマブ サロタロカンナトリウム (遺伝子組換え) です。
BioBlade®レーザシステムについて
BioBlade®レーザシステムは、アキャルックス®点滴静注250㎎と組み合わせて使用するレーザ装置です。レーザシステムは、レーザ装置(BioBlade®レーザ、BioBlade®レーザ WR)、必要な付属品、ディフューザー、およびニードルカテーテルにより構成されます。ディフューザーは、照射を行うための補助器具で、光ファイバーの前方から照射を行う表面照射用のフロンタルディフューザー、光ファイバー端部より側方へ照射を行う表面照射用のサイドファイヤーディフューザー、および光ファイバー端部より円周方向に照射を行う組織内照射用のシリンドリカルディフューザーの3種類があります。BioBlade®ディフューザー用ガイド管は、湾曲することが可能でフロンタルディフューザーやサイドファイヤーディフューザーを照射部位まで誘導するために使用します。ニードルカテーテルは、組織内治療において、シリンドリカルディフューザーを導入するために使用します。
製品概要
製品名 | アキャルックス®点滴静注250㎎ | BioBlade®レーザシステム |
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一般名 | セツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組換え) | PDT半導体レーザ |
規制区分 | 生物由来製品、劇薬、処方箋医薬品 | 高度管理医療機器(クラスⅢ) |
医薬品: 効能又は効果 医療機器: |
切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌 | 切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌に対して使用することを目的としたレーザ装置であり、以下の医薬品と組み合わせて使用する。 (併用医薬品) 一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組換え) 販売名:アキャルックス®点滴静注250 mg |
医薬品: 用法及び用量 |
通常、成人にはセツキシマブ サロタロカンナトリウム (遺伝子組換え) として、1日1回640mg/m2 (体表面積)を2時間以上かけて点滴静注する。点滴静注終了20~28時間後にレーザ光を病巣部位に照射する。 | |
承認条件
※承認時に、厚生労働省から付与された条件です。 |
1. 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。 2. 国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤の使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。 3. 切除不能な局所再発の頭頸部癌患者を対象に実施中の第Ⅲ相試験における本剤を用いた治療法の有効性及び安全性について、医療現場に適切に情報提供すること。 4. 本剤を用いた治療法についての講習を受け、当該治療法に関する十分な知識・経験ある医師のみによって用いられるよう、必要な措置を講じること。 |
切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌の診断及び治療に関する十分な知識・経験のある医師が、適応を遵守し、講習の受講等により、本品を用いた治療法に関する手技及び同療法に伴う合併症等に関する十分な知識を得た上で、本品が用いられるよう、関連学会と連携の上で必要な措置を講ずること。 |
製造販売承認日 | 2020年9月25日 | 2020年9月2日 ※「BioBlade®レーザ WR」と「BioBlade®サイドファイヤーディフューザー」は、BioBlade®レーザシステムの構成品として新たに追加され、2024年7月29日に一部変更承認が取得されました。 |
保険適用開始日 | 2020年11月18日 | BioBlade®ディフューザー:2020年12月1日 BioBlade®ニードルカテーテル S1:2023年9月1日 BioBlade®サイドファイヤーディフューザー:2024年9月1日 |
発売日 | 2021年1月1日 | BioBlade®レーザ:2020年12月14日 BioBlade®レーザWR:2024年11月1日 BioBlade®ディフューザー:2021年1月1日 BioBlade®ニードルカテーテル S1:2023年9月1日 BioBlade®サイドファイヤーディフューザー:2024年11月1日 |
製造販売元 | 楽天メディカル株式会社 |
注意事項
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