- 革新的がん治療法の新たな市場への展開をOEP/Cyntecが主導
- 楽天メディカルは契約一時金を受領、将来的には売上高に応じたマイルストン・ロイヤリティを受領
※ 本プレスリリースの正式言語は英語であり、その内容や解釈については英語版が優先されます。
Rakuten Medical, Inc.(本社:米国 カリフォルニア州 サンディエゴ/以下、楽天メディカル)とOrient EuroPharma Co., Ltd.(本社:台湾 台北/以下、OEP)は、楽天メディカルとOEPの関連会社であるCyntec Co., Ltd.(以下、Cyntec)が、アルミノックス治療(光免疫療法)に用いる製品について、台湾、マレーシア、シンガポール、フィリピン(以下総称して、本地域)における、共同開発および販売に関する独占的ライセンス契約(以下、本契約)を締結したことをお知らせします。
アルミノックス治療は、楽天メディカルが独自の技術基盤「アルミノックス™プラットフォーム」をもとに開発した、医薬品と光照射のための医療機器を組み合わせた革新的ながん治療法です。本治療法は、局所への光照射により、周囲の健康な細胞への影響を最小限に抑えつつ、がん細胞もしくは免疫抑制細胞を迅速かつ選択的に破壊します。この高い選択性により、本治療を受けた患者さんは、重要な機能や生活の質も維持できる可能性があります。また、非臨床研究では、本治療法により自然免疫および獲得免疫が活性化され、持続的な抗腫瘍効果が得られる可能性が示唆されています。これらの特徴により、アルミノックス治療は、細胞レベルの精緻な局所制御と免疫活性化を同時に実現しうる新たな形態のがん治療法と言えます。
本契約のもと、Cyntecは本地域において、アルミノックス治療に用いる製品(医薬品および医療機器)の共同開発、薬事申請、上市およびマーケティング活動を主導します。楽天メディカルは、科学および臨床上の知見や薬事・実臨床における経験などを共有し、Cyntecを全面的に支援します。
楽天メディカルは、本契約に基づき、Cyntecより契約一時金を受領します。また、今後の売上高に応じて、マイルストンおよびロイヤリティを受領することとなります。
楽天メディカル CEOの三木谷 浩史は、次のように述べています。「本契約締結により、アルミノックス™プラットフォームというイノベーションを通じてアジアのより広い地域の医療に貢献できる可能性が大きく広がりました。楽天メディカルでは、台湾、米国、日本をはじめ世界中の従業員が常に連携し、アルミノックス™プラットフォームの科学的基盤をさらに強化するとともに、実臨床や臨床試験での経験・知見をもとに日々治療を進化させています。OEPおよびCyntecとタッグを組むことにより、台湾およびマレーシア、シンガポール、フィリピンの患者さんにもアルミノックス治療をいち早くお届けし、『がん克服。』のミッション実現に向けてさらに前進できることを楽しみにしています」
OEPのChairmanであるPeter Tsai氏は、次のように述べています。「今回の契約締結は、OEPにとって戦略的なビジネス機会であると同時に、患者さんへの貢献という当社の長期的な使命を具体化するものです。OEPはアルミノックス治療の各地域での実用化を積極的に推進し、いち早い上市を目指すとともに、本治療法の臨床的価値の最大化に取り組んでまいります」
契約締結記念式典(左から)
- Rakuten Medical, Inc. プレジデント 前田 陽
- Taiwan Head and Neck Cancer Society Chairman Dr. Yi-Shing Leu,
- Rakuten Medical Taiwan, Inc. マネージング・ディレクター ルイーズ・チャン
- Chinese Society of Oral and Maxillofacial Surgery Former President Dr. Kuan-Chou Lin
- OEP CEO Calvin Tsai
楽天メディカルの主力製品である医薬品ASP-1929(国内製品名:アキャルックス®点滴静注250mg)および医療機器装置(国内製品名:BioBlade®レーザシステム)は、日本において、先駆け審査指定制度および条件付き早期承認制度のもと、2020年に「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」を対象に世界初の製造販売承認を取得しました。2021年1月の治療提供開始以降、日本中で導入が進み、現在は全47都道府県の180以上の診療科において、450名以上の治療医により治療が提供され、その累計治療数は1,000に迫ろうとしています。
日本でのリアル・ワールド・データでは、管理可能な安全性プロファイルとともに、頭頸部がんにおける68%超の全奏効率(ORR)1や30%超の完全奏効(CR)率、上咽頭がんにおける73%超のCR率2といった有望な有効性が観察されています。
現在、台湾および米国では、再発頭頸部扁平上皮がんに対する一次治療としてASP-1929を用いたアルミノックス治療とペムブロリズマブとの併用療法を検討する国際共同第Ⅲ相臨床試験が進行中です(治験番号:ASP-1929-381/略称:ECLIPSE/ClinicalTrials.gov Identifier:NCT06699212)。先行する第Ⅰb /Ⅱ相臨床試験では、中間評価において、24ヵ月時点の推定全生存率が52.4%、全生存期間(OS)の中央値は未到達という有望な結果が得られています3。
- アキャルックス点滴静注250㎎一般使用成績調査(全例調査)中間報告(データカットオフ日:2024年9月24日)
- Takeshi Shinozaki, et al. Photoimmunotherapy in nasopharyngeal carcinoma recurrence. Poster presented at: 2024 ASCO Annual Meeting.
- David M. Cognetti, et al. Recent safety and efficacy findings from a phase 1b/2 open-label combination study of ASP-1929 photoimmunotherapy with anti-PD-1 therapy in EGFR-expressing advanced head and neck squamous cell carcinoma (HNSCC). Poster presented at: 2024 ASCO Annual Meeting.
楽天メディカルについて
楽天メディカルは、アルミノックス™プラットフォームと呼ぶ技術基盤を基に、薬剤と光を組み合わせた、がんをはじめとした様々な疾患に対する新しい治療法の開発および販売を行うグローバルバイオテクノロジー企業です。同プラットフォームを基に開発した医薬品・医療機器の非臨床試験(非公開データ)では、特定の細胞の選択的な壊死が確認されています。楽天メディカルは、世界中の一人でも多くの患者さんに、一日でも早く、私たちの革新的な治療法をお届けすることにより「ガン克服。」というミッションの実現を目指しています。本社を構える米国に加え、日本、台湾、スイス、インドの世界5カ国/地域に拠点を有しています。楽天メディカル株式会社は、Rakuten Medical, Inc.(米国法人)の日本法人です。詳しくは、https://rakuten-med.com/jp/ をご覧ください。
アルミノックス™プラットフォームについて
アルミノックス™プラットフォームは、治療技術基盤の名称であり、米国国立がん研究所の小林久隆先生らが開発したがん光免疫療法が基となっています。同プラットフォームは、医薬品、医療機器、医療技術、その他周辺技術を総合的に利用した技術基盤であり、楽天メディカルは、これに基づき製品や治療法の開発を進めています。同プラットフォームを用いた治療は、「薬剤の投与」と機器を用いた「光の照射」の 2 段階で構成されます。薬剤は、光感受性物質 (光に反応する物質) と、キャリア (特定の細胞に選択的に集積する成分) から組成される複合体です。機器は、光源となるレーザ装置、レーザ光を照射部位に届けるディフューザー、ディフューザーを組織内に導入するためのニードルカテーテル等により構成されます。薬剤を投与し、標的細胞に選択的に集積させた後、その細胞に機器を用いて特定波長の光を照射することで光感受性物質を活性化させ、生化学・物理学的プロセスにより、標的細胞を壊死させ、あるいは、排除します。
Orient EuroPharmaについて
Orient EuroPharma Co., Ltd (OEP) は、1982年の設立後、台湾を本社とする主要な多国籍製薬企業に成長しました。2003年に台北証券取引所(TPEx)に上場(4120.TW)し、東南アジア地域で強力な事業プレゼンスを確立、同地域に広範な販売ネットワークを構築しています。OEPの製品ポートフォリオは、処方薬、がん治療薬、コスメティクス、乳児から成人までの栄養・健康製品と多岐にわたります。また、革新的な医薬品開発と製造に特化した子会社を運営しています。OEPは、医薬品の研究開発、臨床試験、製造、地域密着のマーケティングといった各領域の強みを生かし、台湾およびアジア太平洋地域全体における医療ソリューションのさらなる発展を目指します。