- 24ヵ月時点の推定全生存率は52.4%で、有害事象は概して管理可能
- 本データをもとに、再発頭頸部扁平上皮がんのファーストライン治療として本併用療法を検討する新たな国際共同第Ⅲ相臨床試験を2024年下期にも開始予定
Rakuten Medical, Inc.(本社:米国 カリフォルニア州 サンディエゴ/以下、楽天メディカル)は、2024年6月2日(米国時間)、米国イリノイ州シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology:ASCO)の2024年年次総会(以下、ASCO 2024)において、ASP-1929を用いたアルミノックス治療(光免疫療法)と抗PD-1抗体との併用療法に関する非盲検第Ⅰb /Ⅱ相臨床試験(ASP-1929-181試験/ClinicalTrials.gov Identifier:NCT04305795)の中間評価から得られた、再発または転移性の頭頸部扁平上皮がんに対する安全性および有効性の最新データについて、ポスター発表しました。
今回発表した最新の中間評価データ(データカットオフ日:2023年8月31日)では、ASP-1929-181試験に登録された19例の再発または転移性の頭頸部扁平上皮がん患者において、本併用療法の臨床的に意義のある結果が示されました。全生存期間(Overall Survival:OS)の中央値はデータカットオフ時点では未到達で、24ヵ月時点の推定全生存率は52.4%、客観的奏効率(Objective Response Rate:ORR)は35.3%でした。有害事象は概して管理可能であり、安全性・忍容性が確認されました。ASP-1929と抗PD-1抗体との併用による相乗的な重篤な有害事象は認められませんでした。
今回の中間評価データにより、本併用療法の有効性・安全性についてさらに検証するための、追加の臨床試験の意義が改めて確認されました。本データをもとに、楽天メディカルは、再発頭頸部扁平上皮がんに対するファーストライン(一次)治療として本併用療法を検討する新たな国際共同第Ⅲ相臨床試験を、2024年下期にも開始する予定です。
ASP-1929-181試験の最新の中間評価データの概要
【有効性について】
- 臨床的に意義のある抗腫瘍効果が示された
- 全生存期間(Overall Survival:OS)の中央値は未到達で、24ヵ月時点の推定全生存率は52.4%(95%信頼区間:25.9-73.4)であった
- 客観的奏効率(Objective Response Rate:ORR)は35.3%(6例、95%信頼区間:14.2-61.7)、うち完全奏効(Complete Responses:CR)が4例(23.5%、95%信頼区間:6.8–49.9)が、部分奏効(Partial Responses:PR)が2例(11.8%、95%信頼区間:1.5–36.4)であった
- 奏効までの期間中央値は1.4ヵ月であった
- 無増悪生存期間(Progression-Free Survival:PFS)の中央値は2.9ヵ月(95%信頼区間 1.4-14.6)であった
【安全性について】
- 有害事象は管理可能で、忍容性は概ね良好であった
- 死亡に至る重篤な有害事象(Serious adverse event:SAE)はなかった
- グレード4のSAEが2例に見られ、光免疫療法に関連した喉頭浮腫と治験治療に関連しない腫瘍出血であったが、いずれも消失した
- ASP-1929と抗PD-1抗体による相乗的なSAEは認められなかった
ASCO 2024でのポスター発表について
- 演題:Recent safety and efficacy findings from a phase 1b/2 open-label combination study of ASP-1929 photoimmunotherapy with anti-PD-1 therapy in EGFR-expressing advanced head and neck squamous cell carcinoma (HNSCC)
- 抄録番号:6083
- 抄録リンク:https://meetings.asco.org/abstracts-presentations/234832
- 筆頭著者:David M. Cognetti医師(米国トーマス・ジェファーソン大学 Department of Otolaryngology - Head & Neck Surgery)
楽天メディカルについて
楽天メディカルは、アルミノックス™プラットフォームと呼ぶ技術基盤を基に、薬剤と光を組み合わせた、がんをはじめとした様々な疾患に対する新しい治療法の開発および販売を行うグローバルバイオテクノロジー企業です。同プラットフォームを基に開発した医薬品・医療機器の非臨床試験(非公開データ)では、特定の細胞の選択的な壊死が確認されています。楽天メディカルは、世界中の一人でも多くの患者さんに、一日でも早く、私たちの革新的な治療法をお届けすることにより「ガン克服。」というミッションの実現を目指しています。本社を構える米国に加え、日本、台湾、スイス、インドの世界5カ国/地域に拠点を有しています。楽天メディカル株式会社は、Rakuten Medical, Inc.(米国法人)の日本法人です。詳しくは、https://rakuten-med.com/jp/をご覧ください。
アルミノックス™プラットフォームについて
アルミノックス™プラットフォームは、治療技術基盤の名称であり、米国国立がん研究所の小林久隆先生らが開発したがん光免疫療法が基となっています。同プラットフォームは、医薬品、医療機器、医療技術、その他周辺技術を総合的に利用した技術基盤であり、楽天メディカル社は、これに基づき製品や治療法の開発を進めています。同プラットフォームを用いた治療は、「薬剤の投与」と「光の照射」の 2 段階で構成されます。薬剤は、光感受性物質 (光に反応する物質) と、キャリア (特定の細胞に選択的に集積する成分) から組成される複合体です。同薬剤を投与し、特定の細胞に選択的に集積させた後、その細胞に特定の光を照射することで光感受性物質を活性化させ、生化学・物理学的プロセスにより、特定の細胞を壊死させ、あるいは、排除します。
ASP-1929について
楽天メディカル社がアルミノックス™プラットフォームを基に開発した最初の薬剤であるASP-1929(一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム)は、抗体であるセツキシマブに光感受性物質である色素IRDye® 700DXが結合した抗体-光感受性物質複合体で、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に集積することが確認されています。EGFRは、頭頸部がん、乳がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん、すい臓がんなど様々な種類の固形がんに発現していることが知られています。ASP-1929ががん細胞に集積した後、波長690 nmのレーザ光を専用のレーザ照射システムを用いて照射することにより、ASP-1929が局所的に励起され光化学反応を起こします。これにより細胞膜が傷害されたがん細胞が選択的に壊死すると考えられています。本剤を用いたアルミノックス治療は、2018年1月に米国食品医薬品局からファストトラックに指定され、現在局所再発頭頸部扁平上皮がんの国際共同第Ⅲ相臨床試験を実施しています。日本において、先駆け審査指定制度の対象品目として指定され、かつ条件付き早期承認制度の適用のもと申請を行い、2020年9月に「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」を効能または効果とする製造販売承認を厚生労働省から取得しています。日本以外の規制当局による承認は受けておりません。
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