- ASP-1929の初めての第Ⅲ相無作為化比較試験であるASP-1929-301試験において、既に多くの治療を受けてきた再発頭頸部がんに対して、OS中央値:15.7ヵ月、ORR:25.8%などの有効性と管理可能な安全性プロファイルを確認
- 再発上咽頭がんに対する多施設共同観察研究の発表では、局所奏効率86.0%、2年生存率89.2%が報告された
Rakuten Medical, Inc.(本社:米国 カリフォルニア州 サンディエゴ/以下、楽天メディカル)は、2026年5月30日(米国時間)、米国イリノイ州シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology:ASCO)2026年年次総会(以下、ASCO 2026)のポスターセッションにおいて、再発頭頸部がんに対するASP-1929を用いたアルミノックス治療(光免疫療法)の単独療法に関する国際共同第Ⅲ相臨床試験(ASP-1929-301試験、NCT03769506)の結果を初めて発表しました。
ASP-1929-301 試験は、過去に少なくとも2種類以上の治療で効果が得られず、外科手術や放射線治療を受けられない局所再発頭頸部扁平上皮がん患者を対象に、ASP-1929を用いた光免疫療法の有効性および安全性を評価する国際共同無作為化オープンラベル第Ⅲ相臨床試験です。
また、日本の臨床医で構成される研究チームより、再発上咽頭がんに対するASP-1929を用いたアルミノックス治療(光免疫療法)の有効性と安全性を評価する多施設共同観察研究(UMIN000060367)の最新データもポスター発表されました。
いずれのポスター発表でも、治療選択肢が限られている患者に対し、ASP-1929を用いた光免疫療法について、臨床的に意義のある局所制御と管理可能な安全性プロファイルが示されました。
米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンター Head and Neck Surgery Assistant ProfessorのAnastasios Maniakas医師は、以下のように述べています。
「頭頸部がんは世界で7番目に多いがんで、年間約100万人の新規患者と約50万人の死亡が報告されています。また、治療を受けても20~30%が再発します。ASP-1929-301試験では、ASP-1929光免疫療法が、腫瘍応答、持続的な局所制御、ならびに管理可能な安全性プロファイルを示しました。本治療のさらなる検証の意義を示すものです」
楽天メディカルは、現在、再発頭頸部がんに対するファーストライン(一次)治療として、ASP-1929を用いた光免疫療法とペムブロリズマブとの併用療法を検討する国際共同第Ⅲ相臨床試験(ASP-1929-381試験、NCT06699212)を、米国・台湾・日本・ウクライナで実施中です。
ASP-1929-301試験に関するポスター発表
ポスター:ポスターPDFリンク
発表動画:動画リンク
主な結果(データカットオフ:2025年4月30日):
- 135例が登録され(PIT群:89例、SOC群:46例)、その約3分の2が3種類以上の治療歴を有していた
- 有効性(PIT群vs. SOC群):
- 主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は、両群で同程度であった(中央値3.2ヵ月 vs. 3.1ヵ月、HR 0.98)
- 同じく主要評価項目である全生存期間(OS)は、PIT群で延長傾向を示した(中央値15.7ヵ月 vs. 9.6ヵ月、HR 0.83)
- 主要な副次評価項目である客観的奏効率(ORR)および病勢制御率(DCR)は、PIT群で数値的に高かった(25.8% vs. 15.2%、68.5% vs. 43.5%)
- 安全性(PIT群vs. SOC群):
- Grade3以上の治療関連有害事象(TEAE)はPIT群で多く認められた(58.3% vs. 36.4%)が、用量変更・遅延・中断(15.5% vs. 30.3%)や中止(4.8% vs. 9.1%)に至った有害事象はPIT群で少なかった
- PIT群の有害事象は主に治療による局所の炎症反応で、多くは軽度で管理可能であった
- 生活の質(Quality of Life:QoL):
- PIT群において、SOC群と比較した際のQoLへの悪影響は見られなかった
- ECOGパフォーマンスステータスが、PIT群の19.1%で改善したのに対し、SOC群では0%であった
- 症例数が限られていることと、SOC群での脱落率が高い(28.3% vs. PIT群 5.6%)ことから、統計学的比較には制約があった
再発上咽頭がんに対する観察研究に関するポスター発表
ポスター:ポスターPDFリンク
主な結果:
- 有効性:
- 評価可能な43例のうち、31例(72.1%)で局所病変にて2ヵ月以上持続する完全奏効(CR)が確認された
- 部分奏効(PR)6例(14.0%)を含めると、局所奏効率(Overall local response rate)は86.0%(37/43)であった
- 過半数となる51.2%(22/43)の患者が最終観察時点において無病生存であった
- 2年時点の全生存率は89.2%であった
- 安全性:
- Grade3以上の治療関連有害事象(TEAE)は10例(23%)、Grade3以上の治療起因有害事象(TRAE)は7例(16%)に認められた
- Grade3以上の有害事象として最も多かったのは骨髄炎および粘膜炎であり、局所の感染症に対する管理の重要性が示唆された
- 頸動脈出血による死亡例が2例認められ、骨髄炎との関連が示唆された
楽天メディカルについて
楽天メディカルは、アルミノックス®プラットフォームと呼ぶ技術基盤を基に、薬剤と光を組み合わせた、がんをはじめとした様々な疾患に対する新しい治療法の開発および販売を行うグローバルバイオテクノロジー企業です。同プラットフォームを基に開発した医薬品・医療機器の非臨床試験(非公開データ)では、特定の細胞の選択的な壊死が確認されています。楽天メディカルは、世界中の一人でも多くの患者さんに、一日でも早く、私たちの革新的な治療法をお届けすることにより「ガン克服。」というミッションの実現を目指しています。本社を構える米国に加え、日本、台湾、スイス、インドの世界5カ国/地域に拠点を有しています。楽天メディカル株式会社は、Rakuten Medical, Inc.(米国法人)の日本法人です。詳しくは、https://rakuten-med.com/jp/ をご覧ください。
アルミノックス®プラットフォームについて
アルミノックス®プラットフォームは、治療技術基盤の名称であり、米国国立がん研究所の小林久隆先生らが開発したがん光免疫療法が基となっています。同プラットフォームは、医薬品、医療機器、医療技術、その他周辺技術を総合的に利用した技術基盤であり、楽天メディカルは、これに基づき製品や治療法の開発を進めています。同プラットフォームを用いた治療は、「薬剤の投与」と「光の照射」の 2 段階で構成されます。薬剤は、光感受性物質 (光に反応する物質) と、キャリア (特定の細胞に選択的に集積する成分) から組成される複合体です。同薬剤を投与し、特定の細胞に選択的に集積させた後、その細胞に特定の光を照射することで光感受性物質を活性化させ、生化学・物理学的プロセスにより、特定の細胞を壊死させ、あるいは、排除します。
ASP-1929について
楽天メディカルがアルミノックス™プラットフォームを基に開発した最初の薬剤であるASP-1929(一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム)は、抗EGFR抗体であるセツキシマブに光感受性物質である色素IRDye® 700DXが結合した抗体-光感受性物質複合体で、上皮成長因子受容体(EGFR)を発現する細胞に特異的に集積することが確認されています。EGFRは、頭頸部がん、乳がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん、すい臓がんなど様々な種類の固形がんに発現していることが知られています。ASP-1929が標的がん細胞に集積した後、波長690 nmのレーザ光を専用のレーザ照射システムを用いて照射することにより、ASP-1929が局所的に励起され光化学反応を起こします。これにより細胞膜が傷害されたがん細胞が選択的に壊死すると考えられています。日本において、先駆け審査指定制度の対象品目として指定され、かつ条件付き早期承認制度の適用のもと申請を行い、2020年9月に「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」を効能または効果とする製造販売承認を厚生労働省から取得しています。日本以外の規制当局による製造販売承認は受けておりません。また、本剤を用いたアルミノックス治療(光免疫療法)と抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブとの併用療法について、再発頭頸部扁平上皮がんに対する一次治療としての有効性・安全性を検討する国際共同第Ⅲ相臨床試験を実施しています。