国立大学法人 東京医科歯科大学(以下、東京医科歯科大学)とRakuten Medical, Inc.(以下、楽天メディカル)は、このたび、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が頭頸部アルミノックス治療(光免疫療法)に伴う浮腫を軽減する可能性について検討する非臨床研究を共同で実施する旨の契約を締結しました。
頭頸部アルミノックス治療(光免疫療法)は、医薬品「アキャルックス®点滴静注250㎎」(一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム)と医療機器レーザ装置「BioBlade®レーザシステム」によるレーザ光照射により、標的とする腫瘍細胞を選択的かつ迅速に壊死させる治療法です。両製品は、「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」を効能または効果とする製造販売承認を世界に先駆けて日本において取得しています。東京医科歯科大学病院では、対象となる患者さんに本治療を実施しています。
本治療の早期臨床試験では、頭頸部がんに対して管理可能な安全性プロファイルが示されています1。一方、注意すべき有害事象に舌腫脹および喉頭浮腫があり、こうした浮腫により気道閉塞が生じるおそれがある場合には気管切開などの対応が必要となります2。現在、予防的気管切開などにより浮腫は適切に管理されていますが、患者さんのさらなる負担軽減につながるような新たな対処法について検討が進められています。
本共同研究を率いる東京医科歯科大学 頭頸部外科学 医学博士の岡田 隆平 先生は、光免疫療法に関する数多くの論文発表や学会発表を行っており、本治療に関する豊富な知見を有しています。また、楽天メディカルは、NSAIDsに分類されるCOX-2選択的阻害薬がアルミノックス治療(光免疫療法)に伴う浮腫を軽減しうるとするマウス研究の結果について、2024年4月に開催された米国癌学会(American Association for Cancer Research:AACR)においてポスター発表しています。本共同研究は、東京医科歯科大学と楽天メディカルが双方の知見を活かし、浮腫対策についてさらなる検討を行うものです。
本共同研究の実施にあたり、岡田先生は以下のように述べています。「頭頸部アルミノックス治療は、国内での症例数の増加とエビデンスの蓄積に伴い、切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がんに対する治療オプションとしての地位を確立しようとしています。一方で、浮腫をはじめとする対処すべき課題も明らかになりつつあります。今回の共同研究が、頭頸部アルミノックス治療を受けられる患者さんの負担軽減と、本治療のさらなる発展に寄与することを期待しています。」
楽天メディカルは、これまでも、神戸大学大学院医学研究科との唾液腺がんのEGFR発現率に関する共同研究や、東海大学医学部付属病院との特定の波長の光をカットする「励起光減弱ライト」を使用した患者さんの生活の質に関する共同研究など、アルミノックス治療の発展を目指す共同研究に医療機関と取り組んでいます。
- Cognetti DM, Johnson JM, Curry JM, et al. Phase 1/2a, open-label, multicenter study of RM-1929 photoimmunotherapy in patients with locoregional, recurrent head and neck squamous cell carcinoma. Head Neck. 2021;43(12):3875-3887. doi:10.1002/hed.26885
- アキャルックス® 点滴静注250mg 適正使用ガイド(2023年11月改訂版)
東京医科歯科大学について
東京医科歯科大学は、1928 年 10 月に日本で初めての官立歯科医学教育機関として設置されました。学問と教育の聖地である湯島・昌平坂において、 医学と歯学の融合を通じて、先進的な医療の実践に従事する日本で唯一の医療系総合大学院大学として「知と癒しの匠」を創造し、人々の健康と社会の福祉に貢献しております。
また、2024 年 10 月には東京医科歯科大学と東京工業大学が統合し、「Institute of Science Tokyo(東京科学大学)」が誕生します。「『科学の進歩』と『⼈々の幸せ』とを探求し、社会とともに新たな価値を創造する」をMissionに掲げ、両大学のこれまでの伝統と先進性を生かしながら、どの大学もなしえなかった新しい大学の在り方を創出していきます。https://www.tmd.ac.jp/
楽天メディカルについて
楽天メディカルは、アルミノックス™プラットフォームと呼ぶ技術基盤を基に、薬剤と光を組み合わせた、がんをはじめとした様々な疾患に対する新しい治療法の開発および販売を行うグローバルバイオテクノロジー企業です。同プラットフォームを基に開発した医薬品・医療機器の非臨床試験(非公開データ)では、特定の細胞の選択的な壊死が確認されています。楽天メディカルは、世界中の一人でも多くの患者さんに、一日でも早く、私たちの革新的な治療法をお届けすることにより「ガン克服。」というミッションの実現を目指しています。本社を構える米国に加え、日本、台湾、スイス、インドの世界5カ国/地域に拠点を有しています。楽天メディカル株式会社は、Rakuten Medical, Inc.(米国法人)の日本法人です。詳しくは、https://rakuten-med.com/jp/をご覧ください。