- 光感受性物質であるIR700はアルミノックス™プラットフォームの基幹アセット
- 他の治療モダリティでも活用されている汎用性の高い物質
- 優れた知財・製品ポートフォリオ戦略により、楽天メディカルは、技術基盤・事業基盤をさらに強化
- 戦略的供給アライアンスにより、より幅広い患者さんの治療に貢献することを目指す
※ 本プレスリリースの正式言語は英語であり、その内容や解釈については英語が優先されます。
Rakuten Medical, Inc.(米国 カリフォルニア州 サンディエゴ/以下、楽天メディカル)は、光感受性物質「IRDye® 700DX」(以下、IR700)について、LI-COR Biosciences社(本社:米国 ネブラスカ州 リンカーン/以下、ライコア社)からの製造技術移管を完了したことをお知らせします。IR700は、アルミノックス™プラットフォームの重要な構成要素の一つです。
楽天メディカルは、光照射により標的細胞を選択的に破壊するというアルミノックス治療(光免疫療法)の作用機序を実現するため、薬剤(複合体)の開発にIR700を使用しています。2020年12月にIR700に関する知的財産、製造技術、製造販売権、および関連するあらゆるデータをライコア社から獲得し、移管作業を進めていました。このたび、製造技術移管が完了したことで、楽天メディカルはIR700の完全な所有者になるとともに、IR700を独占的に製造・供給できる会社となりました。楽天メディカルは、今後、戦略的アライアンスを通じて、自社製造したIR700を他の企業、大学、研究機関などに供給することが可能となります。
IR700は、化学物質「フタロシアニン」を基本骨格とする色素で、親水性に優れ、毒性が低いことに加え、波長690nmの光を吸収することで活性化されるという特徴を持っています1。波長690nm付近の光は組織内に一定程度の深さまで到達することから、IR700は光免疫療法を含む光を用いた様々な治療法の開発に応用されています。その範囲は幅広く、アカデミアでの基礎研究やバイオテク企業による臨床試験などに使われています。一方で、IR700は複雑な構造を有し、繊細な化合物であることから、合成、大量生産、複合体の製造、およびその品質管理には高度な技術を必要とします。
楽天メディカル 副会長 兼 チーフ・エグゼクティブ・オフィサー(CEO)の三木谷 浩史は、以下のように述べています。「IR700は、アルミノックス治療(光免疫療法)がその作用機序を示すうえで不可欠な要素であるとともに、他の治療技術においても活用できるという点で、非常にユニークかつポテンシャルの高いアセットです。IR700の完全自社製造および独占的販売により、当社は、技術基盤に加え事業基盤も強化することに成功しました。今後、IR700の供給に関する戦略的提携を通じて、アルミノックス™プラットフォームのみならずIR700を用いた他の治療技術の発展も支援し、幅広い患者さんの治療に貢献することを目指します」
- Mitsunaga, Makoto et al. “Cancer cell-selective in vivo near infrared photoimmunotherapy targeting specific membrane molecules.” Nature medicine vol. 17,12 1685-91. 6 Nov. 2011, doi:10.1038/nm.2554
楽天メディカルについて
楽天メディカルは、アルミノックス™プラットフォームと呼ぶ技術基盤を基に、薬剤と光を組み合わせた、がんをはじめとした様々な疾患に対する新しい治療法の開発および販売を行うグローバルバイオテクノロジー企業です。同プラットフォームを基に開発した医薬品・医療機器の非臨床試験(非公開データ)では、特定の細胞の選択的な壊死が確認されています。楽天メディカルは、世界中の一人でも多くの患者さんに、一日でも早く、私たちの革新的な治療法をお届けすることにより「ガン克服。」というミッションの実現を目指しています。本社を構える米国に加え、日本、台湾、スイス、インドの世界5カ国/地域に拠点を有しています。楽天メディカル株式会社は、Rakuten Medical, Inc.(米国法人)の日本法人です。詳しくは、https://rakuten-med.com/jp/をご覧ください。
アルミノックス™プラットフォームについて
アルミノックス™プラットフォームは、治療技術基盤の名称であり、米国国立がん研究所の小林久隆先生らが開発したがん光免疫療法が基となっています。同プラットフォームは、医薬品、医療機器、医療技術、その他周辺技術を総合的に利用した技術基盤であり、楽天メディカルは、これに基づき製品や治療法の開発を進めています。同プラットフォームを用いた治療は、「薬剤の投与」と「光の照射」の 2 段階で構成されます。薬剤は、光感受性物質 (光に反応する物質) と、キャリア (特定の細胞に選択的に集積する成分) から組成される複合体です。同薬剤を投与し、特定の細胞に選択的に集積させた後、その細胞に特定の光を照射することで光感受性物質を活性化させ、生化学・物理学的プロセスにより、特定の細胞を壊死させ、あるいは、排除します。