- 腫瘍細胞に対する直接的な攻撃のみならず、腫瘍を二次的に攻撃しうる免疫活性化のシグナルを臨床データにおいて確認
- 手術前に光免疫療法を介入させる可能性について示唆
Rakuten Medical, Inc.(本社:米国カリフォルニア州サンディエゴ/以下、楽天メディカル)は、2025年11月5日~9日に米国メリーランド州ナショナル・ハーバーで開催されたがん免疫学会(Society for Immunotherapy of Cancer:SITC)の第40回年次総会(以下、SITC 2025)において、アルミノックス™プラットフォームをもとに開発されたASP-1929による光免疫療法の、最新の臨床試験結果をポスター発表したことをお知らせします。
今回発表したデータは、切除可能な原発または再発の頭頸部扁平上皮がん・皮膚扁平上皮がんを対象に米国で実施された、 ASP-1929を用いた光免疫療法の有効性・安全性を検討する非盲検・単一群の第Ⅱ相臨床試験(ASP-1929-103試験/ClinicalTrials.gov Identifier:NCT05182866)に基づくものです。本試験は、標準治療である外科的切除前に光免疫療法を探索的に介入させるWindow of Opportunity(治療機会)試験として実施されました。
本データでは、臨床例において、腫瘍細胞の壊死に加え、複数の解析手法において腫瘍を二次的に攻撃しうる免疫活性化が見られました。標準治療である外科的切除の前に光免疫療法を介入させることの意義について、さらなる検討を行う必要性を示すものです。
本研究は、ASP-1929-103試験の治験責任医師である米国国立がん研究所のVassiliki Saloura医師、治験治療担当医師である同研究所のClint T. Allen医師、ならびに楽天グループ株式会社の子会社であるRakuten India Enterprise Private Limitedとの連携のもとで実施されました。
SITC 2025でのポスター発表の概要
タイトル:Exploratory analyses from the ph2 window of opportunity study ASP-1929-103 shows induction of an inflammatory response by ASP-1929 photoimmunotherapy in operable primary or recurrent HNSCC and cuSCC
抄録番号:193
抄録リンク: https://jitc.bmj.com/content/13/Suppl_2/A212
筆頭著者:Amy H. Thorne(Rakuten Medical, Inc.)
主な発表内容:
- 参加した9例(7例:頭頸部がん、2例:皮膚がん)の病理学的腫瘍反応(pTR)は26-99%で、うち7例(78%)でpTR-2、すなわち50%以上の腫瘍壊死を達成。ベースライン時の腫瘍サイズが大きいほど、壊死率は低かった(r= -0.78)
- 全例で光照射後24時間の腫瘍組織における単球・マクロファージ・樹状細胞の増加傾向や好中球の有意な増加(p<0.01)といった免疫細胞の変化を確認
- 腫瘍や免疫細胞で免疫細胞死(ICD)に関連する遺伝子(IL-1B、TNF、IL-6)の発現が増加
- 光照射後24時間の血漿において、IL-6の有意な増加(p<0.05)と、TNFαの増加傾向(p=0.084)を確認
- 光照射後24時間の末梢血において、増殖性NK細胞(Ki67陽性)の有意な増加(p<0.05)と、未成熟NK細胞および細胞傷害性NK細胞の有意な減少(それぞれp<0.05)を確認。これは、NK細胞が血液から治療病変部の腫瘍微小環境へ移行した可能性を示唆
- 光照射後16日目に、Ki67陽性CD4陽性T細胞群の有意な増加(p<0.05)と、PD1陽性CD4陽性T細胞群の増加を確認
ASP-1929-103試験について
本試験は、標準治療である外科的切除より前にアルミノックス治療(光免疫療法)を実施した初めての臨床試験です。本試験の対象は切除可能な原発または再発の頭頸部扁平上皮がんおよび皮膚扁平上皮がんで、患者は米国国立がん研究所でASP-1929を用いた光免疫療法を単回受け、その約3週間後に外科的切除を受けました。主要評価項目は病理学的腫瘍反応(pTR)で、全ての患者から、ASP-1929 投与前・光照射後1日および14±2日・外科的切除時に、バイオマーカーサンプルを採取しました。
楽天メディカルについて
楽天メディカルは、アルミノックス™プラットフォームと呼ぶ技術基盤を基に、薬剤と光を組み合わせた、がんをはじめとした様々な疾患に対する新しい治療法の開発および販売を行うグローバルバイオテクノロジー企業です。同プラットフォームを基に開発した医薬品・医療機器の非臨床試験(非公開データ)では、特定の細胞の選択的な壊死が確認されています。楽天メディカルは、世界中の一人でも多くの患者さんに、一日でも早く、私たちの革新的な治療法をお届けすることにより「ガン克服。」というミッションの実現を目指しています。本社を構える米国に加え、日本、台湾、スイス、インドの世界5カ国/地域に拠点を有しています。楽天メディカル株式会社は、Rakuten Medical, Inc.(米国法人)の日本法人です。詳しくは、https://rakuten-med.com/jp/ をご覧ください。
アルミノックス™プラットフォームについて
アルミノックス™プラットフォームは、治療技術基盤の名称であり、米国国立がん研究所の小林久隆先生らが開発したがん光免疫療法が基となっています。同プラットフォームは、医薬品、医療機器、医療技術、その他周辺技術を総合的に利用した技術基盤であり、楽天メディカルは、これに基づき製品や治療法の開発を進めています。同プラットフォームを用いた治療は、「薬剤の投与」と機器を用いた「光の照射」の 2 段階で構成されます。薬剤は、光感受性物質 (光に反応する物質) と、キャリア (特定の細胞に選択的に集積する成分) から組成される複合体です。機器は、光源となるレーザ装置、レーザ光を照射部位に届けるディフューザー、ディフューザーを組織内に導入するためのニードルカテーテル等により構成されます。薬剤を投与し、標的細胞に選択的に集積させた後、その細胞に機器を用いて特定波長の光を照射することで光感受性物質を活性化させ、生化学・物理学的プロセスにより、標的細胞を壊死させ、あるいは、排除します。
ASP-1929について
楽天メディカルがアルミノックス™プラットフォームを基に開発した最初の薬剤であるASP-1929(一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム)は、抗EGFR抗体であるセツキシマブに光感受性物質である色素IRDye® 700DXが結合した抗体-光感受性物質複合体で、上皮成長因子受容体(EGFR)を発現する細胞に特異的に集積することが確認されています。EGFRは、頭頸部がん、乳がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん、すい臓がんなど様々な種類の固形がんに発現していることが知られています。ASP-1929が標的がん細胞に集積した後、波長690 nmのレーザ光を専用のレーザ照射システムを用いて照射することにより、ASP-1929が局所的に励起され光化学反応を起こします。これにより細胞膜が傷害されたがん細胞が選択的に壊死すると考えられています。日本において、先駆け審査指定制度の対象品目として指定され、かつ条件付き早期承認制度の適用のもと申請を行い、2020年9月に「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」を効能または効果とする製造販売承認を厚生労働省から取得しています。日本以外の規制当局による製造販売承認は受けておりません。また、本剤を用いたアルミノックス治療(光免疫療法)と抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブとの併用療法について、再発頭頸部扁平上皮がんに対する一次治療としての有効性・安全性を検討する国際共同第Ⅲ相臨床試験を実施しています。