- 光免疫療法後のCOX-2を介したPGE2産生により、浮腫が形成される可能性を初めて確認
- COX阻害薬の予防的投与が、浮腫軽減および治療のさらなる安全性向上につながる可能性を示唆
Rakuten Medical, Inc.(本社:米国 カリフォルニア州 サンディエゴ/以下、楽天メディカル)は、2026年4月21日(米国時間)、米国サンディエゴで開催された2026年米国癌学会(American Association for Cancer Research:AACR)年次総会(以下、AACR 2026)において、アルミノックス治療(光免疫療法)に伴う浮腫発生メカニズムおよびCOX-2阻害による浮腫軽減の可能性について検討した非臨床研究結果をポスター発表しました。
COX-2は、炎症や組織障害などの刺激により発現が誘導される酵素です。楽天メディカルは、これまでの非臨床研究において、COX-2選択的阻害薬の予防的投与により、光免疫療法に伴う浮腫の体積が30-50%減少することを確認しています。
これらの知見を踏まえて実施された今回の非臨床研究では、光免疫療法後のCOX-2発現誘導とプロスタグランジンE2(PGE2)の産生が認められました。COX-2選択的阻害薬または非選択的COX阻害薬の投与により、COX-2の発現そのものは抑制されませんでしたが、PGE2の産生は抑制されました。PGE2は、炎症条件下では主にCOX‑2活性を介して産生され、血管透過性を高めることで浮腫形成に関与することが知られています。なお、COX阻害薬の投与による抗腫瘍効果の低下は認められませんでした。
これらの結果は、光免疫療法に伴う浮腫が、COX-2の発現誘導と、COX-2活性を介したPGE2産生により形成されている可能性を示すとともに、COX阻害薬による予防的介入が浮腫軽減に有用である可能性を示唆するものです。
楽天メディカルが独自の技術基盤「アルミノックス®プラットフォーム」を基に開発する光免疫療法は、標的細胞に選択的に結合する薬剤を投与した後、レーザ光照射により標的細胞の細胞膜を選択的かつ急速に障害し、壊死させる治療法です。早期臨床試験1および実臨床2において、頭頸部がんに対する管理可能な安全性プロファイルが示されています。一方、注意すべき有害事象の一つに浮腫があり、舌腫脹や喉頭浮腫により気道閉塞のおそれがある場合には予防的気管切開等の対応が必要になることがあります。そのため、より負担の少ない新たな浮腫への対処法が求められています。
光免疫療法に伴う浮腫の対処法については、特定臨床研究として実臨床下でも検討が進められています。楽天メディカルは、今回の研究結果や本特定臨床研究の成果をもとに、アルミノックス治療(光免疫療法)のさらなる安全性向上と患者さんの負担軽減を目指します。
AACR 2026ポスター発表 概要
タイトル:COX-2/PGE2 driven, photoimmunotherapy-induced edema is reduced by prophylactic NSAIDs in mouse tumor models
ポスターリンク:View/Download Poster [PDF]
抄録番号:4297
抄録リンク:https://www.abstractsonline.com/pp8/#!/21436/presentation/5131
- in vitro試験では、Ephrin A2(EphA2)を発現するCT26腫瘍モデルおよびLL2腫瘍モデルに、抗EphA2抗体-IR700複合体を投与し、光照射の有無に分けてCOX-2の発現状況をリアルタイムPCRおよびウエスタンブロットにより評価したところ、いずれのモデルでも光照射した場合にCOX-2発現の増加が認められた
- COX-2選択的阻害薬ロベナコキシブ、または非選択的COX阻害薬フルルビプロフェンとの共培養下でも、光免疫療法後のCOX-2発現増加が確認され、両剤によるCOX-2発現抑制は見られなかった
- COX-2の下流因子であり血管透過性亢進に関与するPGE2に着目し、ELISA法を用いて細胞培養液中のPGE2分泌量を測定したところ、光免疫療法直後にPGE2濃度の上昇が確認された
- in vivo試験では、両剤の光免疫療法後の浮腫軽減効果を評価するため、CT26-EphA2 または LL2-EphA2 腫瘍を有するマウスに、抗 EphA2抗体-IR700複合体を投与し、光照射の有無に分けて観察したところ、これまでのデータと同様、浮腫は光免疫療法の 6 時間後にピークに達した
- これらのマウスにいずれかの COX 阻害薬を前投与したところ、浮腫は有意に軽減された (p≤0.0001)
- COX-2の関与を検証するため、腫瘍溶解液を解析したところ、光免疫療法後にCOX-2発現は有意に増加した一方、COX-1発現には変化が認められなかった。いずれのCOX阻害薬の投与下でもCOX-2発現の低下は認められなかった
- 光免疫療法後の循環血中のPGE2代謝物を解析したところ、in vitro試験と同様、PGE2の増加が確認されたが、COX阻害薬投与下ではこの増加は確認されなかった
- ヒト下咽頭がん細胞を用いた頭頸部がん異種移植モデルにおいても、浮腫は光免疫療法の6時間後にピークに達し、いずれのCOX阻害薬によっても浮腫は有意に抑制された(p≤0.0001)
- COX阻害薬による抗腫瘍効果の低下は認められなかった
- Cognetti DM, Johnson JM, Curry JM, et al. Phase 1/2a, open‑label, multicenter study of RM‑1929 photoimmunotherapy in patients with locoregional, recurrent head and neck squamous cell carcinoma. Head Neck. 2021;43(12):3875–3887. doi:10.1002/hed.26885
- Shinozaki T, et al. Real‑world clinical experience with ASP‑1929 photoimmunotherapy in head and neck cancer. 34th Annual Meeting of the Japanese Society for Head and Neck Surgery; January 2025.
楽天メディカルについて
楽天メディカルは、アルミノックス®プラットフォームと呼ぶ技術基盤を基に、薬剤と光を組み合わせた、がんをはじめとした様々な疾患に対する新しい治療法の開発および販売を行うグローバルバイオテクノロジー企業です。同プラットフォームを基に開発した医薬品・医療機器の非臨床試験(非公開データ)では、特定の細胞の選択的な壊死が確認されています。楽天メディカルは、世界中の一人でも多くの患者さんに、一日でも早く、私たちの革新的な治療法をお届けすることにより「ガン克服。」というミッションの実現を目指しています。本社を構える米国に加え、日本、台湾、スイス、インドの世界5カ国/地域に拠点を有しています。楽天メディカル株式会社は、Rakuten Medical, Inc.(米国法人)の日本法人です。詳しくは、https://rakuten-med.com/jp/ をご覧ください。
アルミノックス®プラットフォームについて
アルミノックス®プラットフォームは、治療技術基盤の名称であり、米国国立がん研究所の小林久隆先生らが開発したがん光免疫療法が基となっています。同プラットフォームは、医薬品、医療機器、医療技術、その他周辺技術を総合的に利用した技術基盤であり、楽天メディカルは、これに基づき製品や治療法の開発を進めています。同プラットフォームを用いた治療は、「薬剤の投与」と「光の照射」の 2 段階で構成されます。薬剤は、光感受性物質 (光に反応する物質) と、キャリア (特定の細胞に選択的に集積する成分) から組成される複合体です。同薬剤を投与し、特定の細胞に選択的に集積させた後、その細胞に特定の光を照射することで光感受性物質を活性化させ、生化学・物理学的プロセスにより、特定の細胞を壊死させ、あるいは、排除します。